コンピュータソフトウェア倫理 機構の審査済み作品です。
コトの発端は、不景気で親父の工場が潰れたことだった。
工場の経営が傾いていたのは知っていたが、都会の大学に通うため一人暮らしを始めて今年でちょうど4年目。
まさかこんなことになるなんて…思いもしなかった。
やがて、なけなしの貯金も底をつき家賃の払えなくなったマンションは退去が決定。
大学卒業まであと半年以上…。
とにかく住める場所を見つけないといけないのだが、そんなに都合よく物件が見つかるわけもなく…
「…住むところ見つからないんじゃ…」
と、空を見上げながらそう呟いた時だった。
「あの…?」
突然背後から声をかけられ振り返ると、そこにはエプロン姿の女性が立っていた。
「お部屋をお探しなんですか? もしよかったら、お部屋を紹介させてもらえませんか? この建物…日和荘っていうんですけど、私、ここの管理人なんですよ」
女の人はそう言って隣にある建物を見上げた。
その建物は古びた木造のアパートで、どう見ても築数十年は経っているだろう。
それでもなぜか、汚れているというイメージは湧かなかった。
不思議と…胸が温かくなるような、そんな感覚だった。
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